自分でさぱりメント

服を着替えて☆自分発見

きりん@向日葵

「私の場合、秋といえばオシャレです。シックな服を着ると、
新しい自分になれそう♪」というメールを送ってくださったのは、
HN.こまちさん。

今回は、こまちさんのお便りを元に、お話を作っていきます♪


「下り電車、まもなくホームに入ります・・・。」

いつものように、駅ビルの前を素通りして改札口へと急ぐ私。

別に早く家に帰らなきゃいけない理由なんてないのだけれど、
寄り道する理由もない。買い物する理由も、おしゃれする理由も。

「オンナを捨ててるって感じよね。」

今日、会社のトイレで後輩の女の子たちが、そんな風に私の陰口を
たたいていた。

構わない。誰に何を言われようと、私には関係ない。

・・・ずっと、そう思ってた。

でも。

本当に、このままでいいのだろうか。

ノーメイクにジーパン姿で、いそいそと職場と家とを往復するだけ
の私。

自分に自信がないから、歩くスピードもどんどん早くなってきて
しまった私。

道の端っこを、こそこそと歩く私。

・・・大嫌いな、私。

気がつくと、私は駅ビルの前の、大きな柱の影にぼんやり立っていた。

通り過ぎる人が、物珍しげにチラチラと私を見ていく。

慌ててその場から立ち去ろうとしたその瞬間。

ばっちりメイクにミニスカート姿の、美しい女性が声をかけてきた。

「あのう。もし宜しかったら、割引チケットをどうぞ。3階にある
婦人服のお店です。」

手渡されたチケットをしっかりと握り締めながら、私は駅ビルの中へ
吸い込まれるように入っていった。

エスカレーターを3階まで上り、すぐの場所にその店はあった。

真っ先に目に飛び込んできたのは、深いワインレッドのスーツ。

スエード調の生地はつややかで柔らかく、裾がゆったりとした波の
ようなラインを描いているスカートは、とっても上品。

「あの・・・このマネキンが着ているスーツ、下さい!」

言っちゃった。こんなに高い服を買うのは、生まれてはじめてかも。

「かしこまりました。ありがとうございます。」

店員さんが、にっこり微笑んでやって来た。

笑顔で人に接してもらったのは、久々のような気がした。

営業スマイルだって分かってても、やっぱ、うれしい。

マネキンが着ているスーツを店員さんが脱がせ、丁寧にたたみ、
袋に入れ始める。

「ちょっと待ってください!あの、やっぱ、着て帰ります!!」

せっかく決心したんだもん。

今すぐに着なくちゃ意味がない。

明日になってからでは、もう遅いかもしれないのだから。

試着室で着替えさせてもらい、外へ出た。


不思議だ。

いつもの駅が、とても新鮮に見える。

道行く人の視線が、普段よりも温かい・・・。

今日は久々に外食でもして帰ろうかな?

あ、そうだ!本屋さんにも寄っていこう。

それから・・・家に帰ったら、久々に実家へ電話もしてみよう。

私は踵を返して、駅の外に出る道へと向かった。

もう、こそこそと隅っこを歩くようなこともない。

堂々と、道の真ん中を歩いていけるのだ。




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