自分でさぱりメント

クリスマスの朝☆二十年の時を越えた贈り物

きりん@向日葵

「Merry Chrstmas!」
皆様どのようなクリスマスイブの夜をお過ごしになられており
ますでしょうか・・・?

今回は私「きりん」からとっておきのクリスマスのお話を皆様に
お送りいたします♪

友達同士でパァ~ッと盛り上がったイブの夜が明けた。


ほろ酔い加減で眠りについている友達を尻目に、私はせっせと
帰り支度をはじめる。

メールチェックをするためにカチャカチャと携帯電話のボタンを
鳴らせていたためか、すぐ隣ですやすやと子どものように寝息を
立てていたミチルが目を覚ました。

「おはよう。・・・あれ、もう帰るの?」

ミチルは昔から女の子と間違えられるタイプの男の子で、誰からも
愛される人懐っこい人柄だ。

「うん。実は今日、仕事なんだよね。」

ミチルは大げさにエエッ!という驚いた顔をして私を見た。

「な、なんだよ~!言ってくれれば早めに解散したのに。」

「ううん。いいのいいの。学生時代の頃みたく、翌日のことなんて
気にせずに飲み明かしてみたかったのよ・・・もう一度。」

ミチルはしばらく深刻な顔をして黙りこくり、そして言った。

「じゃあ、さ。久しぶりにまたチャリ二人乗りしてみない?
昔はオレの方が華奢だったから後ろに乗せてもらってたけど・・・
今日は逆。駅まで送って行ってあげる。」

気重な朝にそんなことをとっさに提案してくれるミチルの気持ちが、
愛しかった。

「いざ、しゅっぱ~つ!」

冬の朝七時というのは、まだ薄暗い。
いつもは一人で心細い駅までの道のりも、今日は特別温かい。
ミチルの腰に手を回しながら、ミチルが学生時代から愛用している
ダウンジャケットの香りを感じていた。

「なぁ・・・もしかしたら、会えるかもな・・・サンタクロース。」

はぁはぁと息を切らしながら、途切れ途切れにミチルがつぶやいた。

「え~?まさかぁ。」

私は思わず笑ってそう答えてしまったけれど、心のどこかでは
「そうかもしれない」と思った。

だって、日本にはこんなにも人がたくさんいて、道も入り組んで
いるんだもの・・・サンタクロースだって予想外に手こずっている
かもしれない。
それに、今日は土曜日だから・・・ひょっとしたら、少し遅れても
構わないだろうって思っているかもしれない。

そんな下らない妄想をしている自分に苦笑いしていたその瞬間・・・
白ヒゲをもくもくと生やした小太りなおじいさんが、交差点の
真ん中で立ち止まって、こちらを見ている。

真っ黒なコートに皮製のハンチング帽を被ったその装いこそ違えど、
顔形や体型は間違いなく絵本で見たサンタクロースそのものだ。


「もし・・・そこのお二人さん。」


そう呼び止められて、ミチルも私も思わず息をのんだ。
ひと気のない交差点は、まるでそこだけ別世界みたいにぽっかりと
浮かんでいた。


「昔、あなたたちに届け忘れたものがあります。私も、全ての家を
一夜で回りきれるわけではないので、ついつい長い間そのままに
なってしまって・・・。」


「・・・???」


ミチルも私も、訳が分からず、ただぽかんとしていた。
この人、一体・・・。


おじいさんは大きな旅行鞄の中をガサゴソと探ると、一つの小箱を
取り出した。


「あったあった・・・これです、これです。・・・さぁ、どうぞ。」


ミチルがそっと受け取ると、おじいさんは付け加えた。


「その箱の中には、鍵が入っています。小さな小さな鍵ですよ・・・。
その鍵にぴったり合う錠が、きっとあるはずです。その中にこそ、
あなた達への本当のプレゼントが入っているのです。」


交差点の信号が青に変わった。
ミチルと私は無言のままおじいさんに会釈をし、その場を離れた。


「・・・ねぇ、ミチル。今の・・・サンタクロース?ねぇ・・・。」


「振り向いちゃ、ダメだ。あのおじいさんがサンタクロースだとして
もそうじゃないとしても・・・振り向いたら、いけないんだ。」


私はうなづき、ミチルの背中に耳を当てながら、おじいさんにもらっ
た小箱を見つめていた。


遠い遠い記憶が、徐々に甦ってくる。


「ねぇ、ミチル。・・・私たちがまだ小さかった頃さ、鍵付きの
オルゴールの小箱の中に、何か隠さなかった?タイムカプセルとか
言って・・・。そう、確か、手紙とかビー玉とか・・・。」


「・・・うん。オレも今、同じコト思い出してた。確かあの鍵、失く
しちゃったんだよな。いつの間にか、失くしちゃって、本当に今まで
中身を取り出したくても取り出せなくて・・・。」


空が徐々に明るくなり、柔らかな光が差しはじめた。
あのおじいさんは本当にサンタクロースだったのか、それともただの
怪しげな占い師か何かなのか・・・?

この鍵は本当にあの小箱の鍵なのか、それとも何かもっと違うものの
鍵なのか・・・?


けれど、ミチルと私は小さな小箱に入った鍵以上の、もっと素敵な
ものをあのおじいさんからもらった気がする。


私たちは、決して忘れないだろう。
・・・クリスマスの朝の不思議な出来事と、二十年遅れの贈り物を。




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