小さな先生たち

自然な幸せ

優月

 わたしの勤めるスイミングでは
 子供たちの泳力に合わせて班編成を行ないます。
 一人のコーチが一つの班を担当するわけで、
 級が上がると上の班に移動することになります。

 とんとん拍子に進級する子はすぐ次の班に移るんですが、
 なかには一年二年と同じ班に留まる子も。

 わたしの担当にもそういう子が何人かいて、
 何とかしないといけない、
 という危機感を抱かせてくれます。


 しかしある時、またもや進級テストに不合格だった
 ある女の子がこう言ってきました。

 「あ~、よかった♪」


 なんでやねん!(  ̄□ ̄;)
 と、つっこみたかったんですが、よくよく聞いてみると、
 「コーチが変わるのがイヤだったから」ということ。 

 もう抱きしめたくなりました☆
 相手が女の子だったのでそれはやめておきましたが。(^_^;)
 (たくさん『ありがとう』と伝えました)


 コーチを本当に信頼し、コーチが大好きな子たちは、
 時々こういう嬉しいことを言ってくれます。

 自分の上達することよりも、
 好きな人と一緒にいたいと思う気持ちを優先する。
 わたしたち大人も分かりますね。
 

 こんな考えは進歩を阻むということで、
 バッサリ切るコーチもいます。
 でもわたしは、無邪気な笑顔を向けて
 もっと一緒にいたいと言ってくれる子供たちを見て、
 こういう気持ちも大切なのではないかと感じます。

 「コーチと一緒にいたい」というその言葉は、
 わたしを本当に幸せな気持ちにしてくれるからです。

 自分の何かを極めるよりも人とのつながりを大切にすること。 
 これはとても自然なことなんだ、とある人が言っていました。

 山や海や川、大自然の中にいて独りたたずむことも気持ちいい。 
 でもわたしたちは人なんだから、
 人の中にいることが一番自然なんだ、と。


 もちろんわたしは子供たちの上達も願います。
 でも、わたしたちの大切な絆を切ることもないように願います。
 そのごく普通の、ごく自然な幸せを、感じ続けたいからです。


                              優月




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