小さな先生たち

成長すること、思い出すこと

優月

 人は年月を重ねるごとに成長していきます。
 大人に近づいていくたびにたくさんのことを知識を得、
 技術を身につけ、特質も磨かれていきます。

 大人になり、できることが多くなり、誰かの力になれる。
 それゆえにもっと大人になりたい、と前回書きました。

 でもわたしたちは時々、大人になることで
 忘れてしまうこともある、ということに気づくと思います。

 責任が増えることで、純粋に何かを楽しむ心を忘れてしまったり、
 競争社会の中で、素直に人に頼り切ることを忘れてしまったり、
 自信が傲慢になって、素直さや謙遜さを失ってしまったり。

 何かを失わなければ、何かを得ることはできない。
 これは一面の真理かもしれませんが、
 でも、本当に大切なものは失いたくないものです。


 幼いころに父親を亡くしたある女の子は、
 初めはお父さんのことを忘れてしまいたいと思いました。
 楽しかった思い出を描いても、それとともに悲しみもこみ上げてくる。
 だから全部忘れてしまったほうが楽だ、と考えました。

 でも、忘れませんでした。忘れることはできませんでした。

 悲しみのために、楽しい思い出まで失ってしまうのはもったいない。
 そう思いなおしたからだそうです。


 人が成長するときに得るものと失うものも、同じ気がします。
 わたしはさぱりメントのライターとなってから、
 以前にも増して子供たちを観察し、そこから学び取ろうとしました。

 わたしがこの半年とくに感じたのは、「教えられた」というよりも、
 「思い出すことができた」ということです。
 必死に、成長しよう何かを得ようとして忘れてしまったもの、
 それを思い出させてもらえました。

 よろしければみなさんも、自分は何かが足りないと思えるとき、
 無邪気に笑う子供たちに目を向けてみてください。
 成長するとは、必ずしも何かを得ることだけではありません。

 思い出すこと、これも大切なことなんだと、実感できると思います。

                             優月




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