心の奥底から湧き上がってきた言葉で、自分を見つめよう

勉強なんてカンタンだ!

ひまわりちほりん

東北大学に川島隆太先生という教授がいます。
川島先生が、
「どういうときに、人間の脳ミソは一番よく働くか」という研究発表をされたのですが、
その結論は、じつは音読しているときだというものでした。

声に出して読んでいるときに、アタマは一番よく働く。


「ことば」は人類最大の武器。ということは、国語は大事だってこと?
そのとおり!

小学校のあいだは、国語がものすごく大事。
きちんと勉強して、日本語を徹底的に磨くこと。
どんな漢字が出てきても読める。本もスラスラ読めてしまう。
あるいは、理科や社会の教科書を読んでも、なにを言ってるのかがわかるようになれば、全教科こわいものなしだと思わないかい?


日本人にとっては、日本語ができないと、考える密度がどうしても薄くなっちゃう。
考える速度も遅くなっちゃう。
考えていることも、浅くなっちゃう。

日本語が、ちゃんとできるかどうかというのは、
たんに国語という教科だけにとどまらないで、
「考える」ことすべてに影響を与えてしまうんだ。

だから、本を読んだり、人の話を理解しながら聞いたり、人とたくさん話をしたりして、日本語に慣れていく。
いろんなことばを使えるようになることが、
すべての勉強の近道だと、ぼくは思うんだ。



斎藤孝著「斎藤孝のガツンと一発シリーズ 第1巻 勉強なんてカンタンだ!」
cover




私は、よく子どもに怒鳴ってしまう。
なんでこんなに私はイライラしてるんだ?と自分に問いながらも、とまらないときがある。

それでも私も怒鳴ったことを申し訳なくは思っているので、最後に、
「もうっ!わかった?太陽君?」
などと言って、わざと顔を大げさにしかめながら小学校1年生の息子の顔をのぞきこみ、ちょっと息子を笑わせては怒りを終わりにしたりしていた。


私は言葉が足りなかったり、適切な言葉が出なかったり、相手がわかるようにうまく説明できなかったりということがよくある。
息子は私にそっくりで、言葉で説明するのは難しいようだ。

「なぜ、たたいたの?」
「なぜ、明日、学校を休みたいの?」
と聞いても、息子が自分の気持ちを説明できたためしがない。

性差なのか、4歳の娘のほうが語彙が豊富な気さえする。


しかし音読が頭をよくすると知ってからは、私が怒ったあと、私が何を怒っているのか我が子たちに確認するようにしてみた。

「太陽。お母さんが今、何を怒ったか、わかる?」
「・・・えっとー。太陽が、あっちの部屋に行っちゃったから・・・」


左腕を骨折した息子は、私と娘が入浴したあとに洗ってあげている。
体を洗い、入浴したあとの息子の体の水分を一度、バスタオルでふき取る。
それからお風呂場の入り口にひざまづかせて、息子の髪の毛を洗うのである。
しかしその時点で、息子は既にお風呂からあがっておもちゃで遊んでいる娘のいる部屋に行ってしまったのである。


「違う!お母さんが太陽の髪の毛を洗おうと待っているのに、太陽があっちの部屋に行っちゃっ
たからでしょ!お母さん、ずっと待っているんだよ!」

半分裸の状態で私は待っているので、早く息子の洗髪を終えたいのである。


「・・・」
「お母さんが何を怒ってるか、言ってごらん」
もう一度、息子が私の怒りの内容を理解してくれたか、確認する。

「えっとー・・・。太陽が、あっちの部屋に行っちゃったから・・・」
「だから?」
「・・・?」
「太陽があっちの部屋に行っちゃうと、その間、お母さんはどうしてるの?」
「・・・待ってる」
「そう!待ってるんだよ、お母さんは!お母さんは太陽が戻ってくるまで、ここで待っていなく

ちゃならないんだよ!わかった?」
「・・・うん」


ちょっとこわい?
しつこい?

しかし、なかなかいいコミュニケーションではないかと自分では思っているのだが。


母子家庭の我が家では、食事のときもたいして会話がない。
やっぱり会話というものは、ある程度言葉がきちんとしゃべれるようになった年齢の人とするものではないかとよく思う。
夫婦同士とか、親を相手に会話するのではないかと思う。

あるいは、私が子どもたちの年齢に合わせていろんな話や物語、作り話でもしてあげればいいのかもしれないが、絵本の読み聞かせは喜んでしても、子どもたちとの会話は苦手だった。
または、親との会話がなかった食卓での経験からきているのかもしれない。


とにかく、我が家ではたいして子どもと会話しているという状態があまりないので、それが息子の言葉不足を生んでいるのではないかと思っていた。
それで私が怒ったときにではあるが、息子、もちろん娘にもしゃべらせる機会を与えたわけで
ある。

私が怒鳴っている内容を、理解してくれたかどうか。
このときばかりは、いつもは子どもの話を台所で聞き流している私も、子どもにしっかりと向き合う。
怒鳴らなくてもいいのにと自分で恥じながら、私が怒鳴ってしまう理由を子どもにもわかってもらいたいという気持ちのほうが大きいかな。


自分の言いたいことや気持ちは、相手にきちんと伝わっているのだろうか。

友人が我が家に泊まりに来たとき、汚れていたポットを友人が洗っているのを見かけたことがあった。
あっと思ったが、ありがとうが言えなかった。
ポットの外側をふかずに、汚れたままにしていた自分が恥ずかしかったのである。
恥ずかしい自分を、友人の前で認めたくなかったのである。

でも友人が「汚いねえ」などと言わずに、黙ってポットを洗ってくれたことは、とてもうれしかった。


ある日、別の友人宅で私が天ぷらを揚げたことがあった。
揚げ物好きな私は、揚げ物をするたびにオイルポットの油きりにたまるてんかすを取り除く。

友人の油きりには、てんかすなどがたくさんたまっていた。
私は何も言わずに、ティッシュでふき取った。


後日、
「オイルポット掃除してくれたの、ちほりんでしょ?」
と言われた。
「うん」
と答えると、
「ありがとう~。いつも掃除しようしようと思いながら、してなくてさー」
と友人が言った。

うれしかった。
お礼を言われたことがではなく、私が油きりをきれいにしたことに気がついて、しかもそれを私に伝えてくれたことが。


時間差があってもいい。
ひとつひとつの気持ちや行動のもとになった感情が、相手にちゃんと届くといい。


我が子がいつか怒鳴る私に、
「ごめんよ、お母さん。でも、そんなに怒鳴らなくたっていいじゃない?」
などとわかってくれたら、うれしいのだが。

いや、
「怒鳴ってごめんね。お母さんは、これこれがいやだったから怒鳴ってしまったんだよ」
と言えるように、私がならなくちゃ。
我が子にわかってもらえるような努力を、私のほうがしなきゃいけないんだった。




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