カウンセリング体験記
VOL.4 異邦人
桜井 もも
「どんなところなんだろう」
サイトについていた検索エンジンでうちから湘南までの2時間、元来方向音痴な
私は余裕を持って家を出た・・・が。
「ど、どこ?」
駅には着いたもののその先が全くわからない。
プリントアウトした地図をひっくり返したり横にしたりしているうちに、約束の
時間がどんどん迫ってくる。
仕方がないので電話すると
「あ、わかりません?ごめんなさいね。あ、そこまで行っちゃったんですね。
そこをこう曲がってそこの公民館の近くです・・・はい」
この間の無愛想とはうって変わっての優しい声に
「ふん、実際にお客になると態度が違うのね!」
と素直になれないままやっと着いた。インターフォンを押してドアが開くと、
私は中を見て驚いた。
「な、何ココ?普通のアパートじゃない!!!」
確かに3○○号室とは書いてあったけど、私のカウンセリングルームのイメージ
は受付があって(そこにあの優しそうな女の人もいて)その奥に「先生」の部屋
があると思っていたのだ。
でもどう見てもアパートの一室、そして中には腕っ節の強そうな男の人。でも
いまさら引き返せない。私は笑顔を作り中に入った。
「・・・いい天気ですねぇ」と話しながら窓際に立った。
民家がある、私が大声で叫べば誰かには届くな。そして先生を見ながら、力では
勝てないけどみぞおちあたりを一発殴れば逃げられる。
そんなことを考えながら、やたらと体の沈むいすに座った。
「こちらのカルテを書いてもらえますか?」
細かい項目に分かれている。家族のこと、恋人のこと、体のこと・・・・。
ざーっと書いたものの、書き足りないかな?
「これでいいですか?」おずおずと聞きなおす。
「いいですよ」にっこり笑ってくれた。
簡単に項目についての質問に答えると、沈黙が流れた。
窓から差すおだやかな日の光も感じられない程重い体を感じながら、
私はポツポツ話し始めた。
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