心の奥底から湧き上がってきた言葉で、自分を見つめよう

おなかの赤ちゃんとのおしゃべりBOOK

ひまわりちほりん

育てにくいということを逆に考えてみると、
相手のことがわからない、
なにを考えているのか、
どう答えていいかわからないという状態なのです。

うまくコミュニケーションがとれないわけです。


つまり、赤ちゃんのことがわからないというストレスが、
育児のむずかしさにつながるのです。



森本義春著「おなかの赤ちゃんとのおしゃべりBOOK」(PHP)より。
cover




私が朝ご飯を食べているときにいつも、
息子の友人が一緒に登校しようと迎えに来る。

その日は、
息子の友人がベランダからリビングをのぞいて、
息子が黄帽をかぶり、ランドセルを背負うのを待っていた。



すると市の広報誌を配って歩く当番のおじいさんが、
突然ベランダに現れた。

いつもはポストに入れておくのに、
今朝は息子の友人が見えたから中に人がいるだろうと、
ベランダにまわってきたようだった。



黙ってのっそりやって来たおじいさんが視界に入ったとき、
私はちょうど春巻きを口に入れたところだった。

おじいさんは黙ったまま、
息子の友人と窓の間から腕を伸ばして、広報誌を私に手渡そうとした。


私は春巻きを早くかみきって受け取ろうとしたが、
春巻きの皮がねっばこくて、なかなかかみきれない。



するとおじいさんはやはり無言で、広報誌を持った右腕を上下に振って、
私に早く受け取るように催促した。

イライラして待っている様子に、
春巻きを口にほおばっている自分が恥ずかしくもあった。


ようやく春巻きをかみきって、口をもぐもぐさせたまま、
「すいません・・・」
と言うのがやっと。

口の中がいっぱいなので「おはようございます」も言えずに、
広報誌を受け取っただけで精一杯だった。



おじいさんは私に渡すとすぐに帰っていったが、
私は小さな怒りを感じた。


朝バタバタしながら朝食を食べている姿を見られて、恥ずかしかったこと。

そして私が食べていて口から手を離せないのだから、直接渡さずに、
リビングの畳にでも広報誌を置いていってくれればよかったのに、
と、おじいさんがイライラして待っていた様子をとがめる気持ち。



生まじめな人っていやだな、と初めて私は感じた。

だって、直接手渡した方が親切でていねいに見えるけど、
臨機応変に、相手の立場に立って渡し方を変えたっていいはずだ。

畳において帰るという渡し方だって、
私が口をもごもごさせているときなら、それで十分ありがたい。


それなのに直接渡すことがいいことだと思い込んで、
私がどういう状況にいるかを考慮せずに、
自分のやり方を押し通す、クソまじめな人。




私は自分もクソまじめで、
それは半分は誠実で着実でいいことだと思っていた。

だけど・・・。


相手の状況を考えずに自分のやり方を押し通すという、
融通のきかない態度って、
相手からすると圧迫感があり、人格を無視されたように感じるものだなあ。




相手の状況を把握できる、気のつく人。

それが本当の思いやりなんだなと気がついた。




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