みんなのOUCHI
雨
やまぎし・のら
久々の雨。
雨って嫌い?
私は案外好き。
かといって、散歩中にいきなりスコール来られても、
イッチョウラの服着ているときに降られても、かなり迷惑な話。
私が好きな雨は、
家の中にいて「聞く」夜中の雨音。
昔、
ほんの小さい頃、育った家は、その頃でもめずらしい茅葺き屋根の旧家だった。
「160年も生きてる家なんだぞー」
と聞かされて育ったから、今はもう200年近くなる。
記憶移動は瞬間なのに、あらあら、すんごい時が流れていたのね・・・と時折すごく驚く。
末っ子の私は、古い八畳間に父母と共に寝ていた。
川の字ではなく、父母の頭の上に、わたしの布団は敷かれていた。
「ザーッ」
それは、突然やってくる。
茅葺きの屋根は雨が降りてくると、かなり大きな音を立てる。
私はその音にワクワクする。もっと、くるぞくるぞくるぞ!
「ザーッ」
すーっと気持ちが楽になる。
「ザーッ」
すーっと気持ちが溶けていく。
肩の重さが軽くなる。
「ザーッ」
いろんな感情を洗い流して、雨音が私の体を通り抜ける。
固まった気持ちを溶かしてくれる。
「もっと降って、もっと降って。
もっと強く、もっと強く」
わたしは、強く強く願った。
まだ止まないで。まだ止まないで。お願いだから止まないで。
せめて、
私が眠りにつくまで。
せめて、私の今日が終わるまで。
できれば、
私の気持ちが溶けるまで、
ずっとずっと、ず~っと
強く強く、強く 降り続いてほしいといつも思った。
それは、大きな川のうねりでもあり、強いスコールであり、清らかな神のせせらぎであった。
私はずっとずっとずっーっと、その雨音の中にいたかった。
今、その雨音がムショウに恋しい。
でも
今、それを聞くのって、なかなか難しい。
「あの感じ」の雨音って容易じゃない。
今の家は雨音なんてしないから。
今の家は雨音しない方がリッパだから・・・。
今の家はいろんなものを遮断している。
「あ、もう少し強くなってほしいな・・・」
ってくらいで、だいたい終焉を迎える。
だって大変よ。
今、あの雨音願ったら、
あっという間に大洪水。
今の雨は容赦ない。
あんまり言えないんだよね
「強い雨音大好き」だって。
雨で消える命、増えてるし。
「強い雨音」
この世で一番嫌い!って人いるはず。
「恐くて恐くて眠れない!!」
って耳ふさいで震えてる子だっているんだから・・・。
懐古主義ではないけれど、
昔の雨って、もう少しやさしくなかった?
こんなだったっけ??
もしかしたら、今
私たちが、
あんまり雨にやさしくないのかも。
あの雨音、
もう一度、聞いて眠りたい。
それは、
「子どもの頃にかえりたい」
そう願うくらい、難しいことなのだろうか。

(ひまわりちほりん)仕事としての老人ケアの気合 ||次へ→
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