みんなのOUCHI
新種
やまぎし・のら
「歯が~」
「え?」
「歯が~、痛くなったら~、ちゃんと~
お医者さんに行くんだよ~!」
さて、誰の言葉? なんと、2歳のわが娘モモの言葉。
誰に向かって? なんと、私に・・・。
不肖な母親を心配しての言葉だった。
モモは、本当は何歳なんだろう?なんて思うことが度々ある。
泣いている子がいれば、そばに寄り添い座り、
風邪をひいている子がいれば、そっとティッシュを差し出す。
2歳ってそんなことできたっけ?
そう思うほど、
やたら自然なやさしさと、気配りがある子が目の前にいる。
決まりごとも守り、
ケジメがあって、
転んだぐらいじゃ泣きゃしない。
目で雰囲気を読み取り、
そして、とても落ち着いていて、
どこかホッとする空気を持っている。
子どもは親の鏡っていうけれど、本当だろうか?
私は、そんなに褒められた母だろうか?
あんまし何も教えてない。
かえってこのごろ、
逆なことばかりしている気がする。
今度7歳になるにいやんも、
やさしくて感性豊かな子どもだけれど、
外に外に感情を噴射させるにいやんに、
手を焼いているのも事実。
そんなにいやんを慕って、
ふんわりと側にいるモモ。
やさしい、しっかり者のモモ。
それがね~、
今の、6歳のにいやんのプライドを、
痛く傷つける。
モモと一緒にいると楽しいんだって。
でもね、
とっても憎たらしいんだって・・・。
ある日、
虫の居所の悪いにいやんが、
夕食の直前、
ちょっとしたことでパパに叱られた。
「ふんっ!!」
ダンッ!!扉に八つ当たりしてから、
「ウワ~ン!!!!バカ~!!!!バカヤロー!!!!」
本当に、ちょっとしたことで、
何でそこまで?とこちらが思うほどの、
たいしたことのない注意だったけど、
次々に引火、
大爆発で、トイレに立てこもった。
「やれやれ・・・」
何でこんなこともできないの・・・。
ふと情けなくなる。
「ほっとけ、ほっとけ、食べよ食べよ」
パパも呆れ顔。
「うるせー!!!うわーん!!!」
「・・・・・・」
「にいやんが・・・」
「え?」
「にいやんが泣いてるよ」
「うん、いいのいいの。モモ食べな。にいやんいらないんだって」
「え?でも、泣いてるよ、可哀想だね・・・
モモ見てくるね。待っててね。ここで待っててね」
とととと・・・。
「にいやん大丈夫?」
「うるせ~!!」
《バシッ!》にいやんの足がモモに飛んでくる。
「うぇ~ん」
「ね、モモ、今だめだから、にいやんのとこいかないいかない」
「うん・・・」
でも、しばらくすると、
「にいやん、大丈夫かな~。モモ見てくる」って、
とととと・・・。
「うるせ~来るな!!」の繰り返し。
何だろう?
どうして、こうも違うんだろう?
どうして、役目が逆なんだろう?
もしかして、わざわざ神様がそうしたの?
もしかして、その方がいいってさ。
にいやんの大きな大きなプライドが、
より邪険にモモを突っぱねる。
子を見ると親がわかるって言うけれど、本当なの?
親は親。
子どもは子ども。
似ている点も多いけど、
やっぱりみんな一人一人。
彼らを見るとそれがよくわかる。
一人一人違う、原石。
沢山ゴツゴツしてるほど、輝ける可能性を秘めている。
「私が私らしくあるために」
「あなたがあなたらしくあるために」
こうやって、出会ったのかも。
だから、生まれてきたのかも。
輝けるはずの原石は、
触れ合いながら、押し合いながら、
より一層、輝ける宝石に変わる。
はず・・・。
にいやんはにいやんで、モモはその妹に生まれた。
それは面白い《奇跡》なんだね。

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