みんなのOUCHI
魔法の手
うちのら
紫陽花が咲いている。
ちょうど、
ジメジメしてうっとおしいな~って思っていると、
紫陽花は花を開く。
土の性質により、
花の色は赤紫になったり、青紫になったり、
ホワイトに近い水色にもなる。
私はブルーが強い方が好きだなあ。
ブルー寄りの青紫で、そしてちょっと水色の。
見つめると、
どこまでも澄んだ水を思わせる。
どこまでも清い涙を思わせる。
少し冷たい水のシャワーを思わせる。
何だか、湿気が多いこの季節は、
どうも体も心も湿りがち。
もともと、どこにも「負」がなかったら、
別にジメジメだって、関係ない。
反応するのは、
どこかに「負」を抱えてるから。
どこかに蓋をしてるから。
何だか、あちこち調子がいまいち。
家の中もしっとりジメッと、パリッとしないし、
ゴミ箱の隅の残った汚れがここぞとばかりに自己主張する。
心の内も、しっとりジメッと、カビ臭い。
もう、随分前に処分したはずの心の記憶も、
どこかで発酵してたのか、
今頃、今時分、臭い出す。
そんな気分で雨の中、
いやだな~なんて雨の中、
あ~あ~って雨の中、
ふと紫陽花を見つけたりする。
流れる雨を弾きながら、
左右に振れるワイパーの間、
ブルーの紫陽花が深い緑の葉っぱと共に、もっこりと目の前に現れる。
一瞬で、救われた気がした。
一瞬で、洗われた気がした。
一瞬で、流された気がした。
誰かにやさしく抱きしめられた気がした。
ふと小学校の教科書を思い出す。
紫陽花の詩が載っていた。
「六月の魔法の手」
たしかそんなタイトルだった。
その時、さして紫陽花が好きなわけでもなかったけど、
何だか忘れずにずっと憶えている。
私たちは、
魔法の大きな手のひらの上で、
揺らされて、
泣くことを許されているのかも。
泣いて生まれる赤子のように。
梅雨は、そんなに気持ちの良い季節とはいえない。
でも、
暑い夏が来る前に、
しっとりじっくり見つめる季節でもある。
洗い流して、洗い流して、
そして見えてくるものもある。
紫陽花がすきだな~って思う。
この頃特にそう思う。
虹が深い曇りの中で出るように、
紫陽花は、
どんよりとした雨の中で輝きを増す。
大粒の雨に降られながら、
大粒の雨に揺られながら、
紫陽花は、
よりいっそう、煌きを増す。

(うちのら)七夕の夜に ||次へ→
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