みんなのOUCHI
気づく瞬間(とき)
うちのら
大きな地震があった。
ちょうど、階段から降りたとき、
ゴゴゴーって、
洗濯機が唸ったのかと思ったら
熱帯魚の水槽が波立って、
家全体が大きく揺れだした。
おお、地震だ・・・。
リビングにいた子ども達に
「地震だよ地震だよ、こっちおいで!!」
って言って、
部屋の真ん中で、ギューッと抱きしめた。
「痛い」
って、モモが言って、
「こうしてなくちゃだめ」
って、私が言って。
でも、抱きしめる意味があるのかも、
実はよくわからなかった。
しばらくしたら揺れは治まった。
「あー恐かったね。恐くなかった?
ママ、にいやんが壁叩いてるのかと思ったよ」
って言ったら、
「俺は、ママが叩いているのかと思った」
って。
そんな冗談がいえることにほっとした。
さてさてと、
我が家より震源に近い実家やらに電話するも、
なかなか繋がらず、それでもどうにか話すことができた。
皆無事。
やれやれ・・・と
思ってみれば、あれ大変、夫がいない。
そうそう、
早朝に出かけて行ったんだった。
カブトムシ取りに。
どこ?
え?三条・見附??
ここより揺れがひどかったんじゃない??
ホントは、にいやんと出かけるはずが、
たまたまにいやんが風邪ひいて、
それでも
にいやんの頼みと出かけて行った。
何で、こんな日にわざわざ・・・。
携帯に電話をするも例のごとく繋がらない。
大丈夫と思いつつ、
連絡もないので、数分置きに再ダイヤル。
こんな日は携帯より家の電話の方が掛かりがいい。
何度か掛けると繋がった。
繋がったのはいいけど、「電源が入っていない・・・」のコールが聞こえる。
え?大丈夫なの??
急に心配になって来た。
え、
もしこのままいなくなったら・・・。
一瞬頭をよぎった。
まさか~、
いや、まさかは、現実化するから‘まさか’なのかも・・・。
子どもらは、
何事もなかったように日常に戻った。
にいやんは、恐竜の絵を描き、
モモはプリキュアで遊んでる。
「テレビずっと同じでつまんない」
なんて悪態をつきながら・・・。
私も何となく心配をしつつも、洗濯物干したり、
食器を洗ったり、
「ゴミすてなさ~い!」
何て、どなったりしてた。
私はトイレに行ってたのかな。
リビングから少し離れていた。
それで、戻ったのね。
そしたら、
「ガタンッ」って、何やらにいやんの行動がおかしい。
ん?今、受話器置いた??
気になって、再ダイヤルをプッシュしてみた。
「090-2796」
何だこの番号・・・。
はは~ん。
「にいやん、どっか電話掛けた?」
「うううん」
「パパのとこ掛けたんでしょ?」
「・・・・うん」
にいやんは、ちょっと気まずそうにうなずいた。
最近のにいやんは、
「パパ、嫌い!」
なんて平気で言ってた。
叱られた時は特にね、
「パパなんてうざい!」
なんて睨み付けたりしていた。
私もガミガミ怒るのに、
夫の方が遊び上手だと思うのに、
何故か、今はパパに噛み付くことが多い気がする。
もっと遊んで欲しいのかな~その裏返しなのかな~とも思うけど、
あんまり言われると気分の良いものじゃない。
そんな関係の今、
にいやんは、うる覚えのパパの携帯番号を押したんだ。
あーそうなんだ。
あーそうなんだ。
心配してるんだ。
私が考えた「もし」をこの子も考えたんだ。
そう思ったら、
少し泣きそうになった。
かくして夫はどうだったか?
はいはい、
無事戻りましたよ・・・それも何気に。
地震が起きたころは車の中にいて、
もう近くにいて、
そんなに強く感じなかったから、どこかのお店に寄っていたんだって。
まあまあお気楽なこと。
でも良かった良かった。
にいやんも良かったね。
って、にいやんを見ると、
普通に、そのまま恐竜を描き続けている。
「ただいま~」
って夫が言ったら、
「おかえり・・・」
って興味なさ気に返事した。
でも、
あれからにいやん、
けっこうパパに甘えてる。
「地震のとき、パパいなくなったらどうしよーって心配した人!」
って挙手促したら、
にいやん、
後ろ向きで真っ直ぐ手を挙げました。
日常は永遠じゃないと気づいたとき、
初めて、
側にいる誰かを大切に思う自分に気づいたり。
側にいる誰かに支えられてる自分を感じたりする。
地震、揺れましたか?
地震、大丈夫でしたか?
大切な人は誰ですか。

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