みんなのOUCHI
夏休み
うちのら
にいやんが暴れてた。
車の中で。
「もういやだ!!」
って、そっぽを向く。
何、何?
まったく、この子はいつも突然で、
さっきまでテンション高かったのに、
あっという間に急降下。
「なあに、どうしたの?」
「折り紙なんてやだ!!、嫌い!!!」
「え?」
夏休みのイベントで恐竜博っていうのに行ってきた。
動く恐竜たちを見て、
3Dアニメを見て、
ビニールの滑り台滑って、
おにぎり食べて、
それをビデオで撮ったりした。
そのお土産が、「恐竜折り紙」。
普通の折り紙数枚と恐竜の折り方がセットになっていた。
高~いお土産の中で、350円は魅力的で、
にいやんも「これが良い!」
って目を輝かせてたから
しめしめって、これにしたわけ。
あの日はちょうど寝不足で、
でも約束してたからって、
長距離、一人で運転しながらやって来た。
会場をなかなか離れないにいやんに付き合いながらうろうろしてたら、すっかり疲れてしまった。
そんな帰りの車の中、
にいやんは家まで待ちきれずにお土産を広げる。
「こんなところでやったって、
キチッとなんて折れないし、気持ち悪くなるよ~」
なんて私のタシナメ、かれの耳に届くはずもない。
何たって、にいやんは、好奇心の塊。
嬉々として、折り紙を始めた。
「・・・・」
たった、その数分後、
「もうやだ!、ふん!!折り紙なんて嫌いだ!!!」
になるわけで、
まったくわけが分らない。
「だからさ~、家に帰ってから、ゆっくりやろうよって言ったじゃない」
「ふん、もうやだ、全然できない。ばか、折り紙なんて、ふん」
「車の中でやるからダメなんだよ~」
「うるさい!・・・化石にすればよかったな~」
「あんた、折り紙がいいって言ったじゃない」
「だって、あの時、見えなかったんだもん。ばかだ、この折り紙!!」
この辺で、
わたしの寝てない頭はプチッと切れる。
「本当に、何でそうなの?ちょっと出来なかったからって、すぐそうなって、にいやんが欲しがったん
でしょうが!何でも最初からホイホイ出来るはずないでしょ!そんなに最初でダメだって止めてたら、
何にもできないよ。出来ないからどうやったらできるのかな~って頑張るんでしょ!!」
「フン!!!」
ああ、この親にしてこの子ありだわ。
もうちょっと柔らかくなだめる方法もきっとあるだろうに、
いつも声を荒げてしまう。
モモが疲れて眠っている今くらい、にいやんと仲良く過ごしたいのに・・・。
萎みがちに家に戻る。
ちょっと私も休んだ夕方、
「ちょっと折り紙持って来な」って言ってみた。
にいやんは、少し照れくさそうに折り紙を取りに行く。
いざ、
ティラノサウルスに挑戦!
二人で並んで同時進行で折っていく。
「まず二つに折って、それをまた二つに・・・」
「うんそうそう、これ、俺もした」
お、にいやん、なかなか素直じゃん。
「それを、片方の三角形を広げて折って四角にするんだね」
って、この辺は流しながら~、
「うんそうそう、・・・俺それがわかんなかったんだ~」
「ふ~ん」
って、え?
にいやん、あんた、そんなとこでつまずいていたの?
そんなことで暴れていたの??
そりゃ私もびっくりだ!
てっきり、
もっと佳境に入ったところで、わかんなくなって暴れていたのかと思ったよ。まさか、最初の最初だと
は・・・。
「ふ~ん、ここがわかんなかったの。じゃあ、ここに折り目をつけるよ~」
そうと分れば、ゆっくり手順を教えてゆく。
段々と、にいやんの眼が輝いていく。
「うんうん!そうか~!そうなるのか~、そうか、そうかあ、ふ~ん!」って。
簡単に、御機嫌斜めになるにいやんは、簡単に急上昇も果たしてしまう。
恐竜の折り紙って複雑。
めんどくさがりの私には強敵。
でも乗りかかった船、期待の目に答えるしかない。
必死で折り方と格闘した。
にいやんも別人のように、ちゃんと後を付いてくる。
「えーと、えーっと。うん?あ、そうか、う~んとこうか!」
私もだんだん楽しくなってくる。
にいやんも、だんだんと形になるティラノに興奮ぎみ。
とうとうティラノサウルス完成!
「出来た~!!!」
「やったー!!!」
小さいティラノは、きちんとテーブルに立っている。
にいやんは満面の笑み。
「ね、あきらめなくてよかったろー?ちゃんと出来たろ?」
くたくたになりながら私は聞いた。
「うん!」
にいやんも、素直にコクンとうなずいた。
ああ、よかったね。よかったな。
にいいやんがうれしそうで良かったな。
最後まで出来てよかったな~。
日差しが強くなって、
夏の匂いがやって来た。
これからもっと暑くなる。
これから、どんどん暑くなる。
夏はこれから。
夏休みは、
今、始まったばかり。

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